トラウマ

トラウマは、過去の出来事だけで終わるものではありません。怖かったこと、助けが来なかったこと、守ってもらえなかったこと、誰にも分かってもらえなかったことが、身体や神経の反応として残り続けることがあります。

眠れない、人の顔色を読んでしまう、小さな音にびくっとする、急に身体が固まる、何も感じなくなる、親密な関係が怖くなる。そうした反応は、弱さや性格の問題ではなく、かつて危険な環境を生き延びるために身体が身につけた生存反応として理解できます。

このカテゴリーでは、トラウマ、複雑性トラウマ、PTSD、解離、過覚醒、身体反応、愛着の傷、対人関係の苦しさ、そして回復のプロセスについて、臨床心理学とトラウマケアの視点から解説しています。

トラウマを「治すべき異物」として扱うのではなく、その人が生き延びるために必要だった防御として丁寧に見ていくこと。そこから、身体が少しずつ安全を学び直し、自分の感覚や人生の輪郭を取り戻していく道筋を考えていきます。

トラウマからの回復

心の傷が癒えると、心はあたたかくなる|凍りついた身体が安心を取り戻すしくみ

トラウマを経験した人の心と身体には、深い変化が残ります。強い恐怖の中で逃げる道を奪われ、抵抗する力も封じられたとき、人の身体は凍りつくように固まります。頭では何かをしようとしても、声が出ず、手足が動かず、感情だけが遠くへ押し流されることがあ...
トラウマ

日常をこなしながら、自分の感覚を見失うとき|機能的凍結と、役割の中で遠のいていく心

朝になれば支度をして仕事へ向かい、目の前の業務を終え、必要な連絡にも返事をする。家に帰れば家事や家族のことにも手を配り、周囲からは落ち着いていて責任感のある人に見えるかもしれません。けれど本人の中では、日々をどのように過ごしているのか、何に...
トラウマ

トラウマは「心の傷」ではなく、身体に残った生存反応である

トラウマというと、心に深い傷を負った状態を思い浮かべる人は多い。もちろん、その表現は間違っていない。けれど、臨床の場で人の苦しみに触れていると、トラウマは単なる「心の傷」という言葉だけでは捉えきれないものだと感じる。それは、危険な環境の中で...
トラウマ

トラウマは、出来事の大きさだけでは決まらない|身体に残った「どうにもできなかった感覚」について

トラウマは、出来事の大きさだけでは決まらないトラウマという言葉は、大きな出来事と結びつけて考えられがちです。事故、災害、暴力、命の危険を感じるような体験。たしかに、そうした出来事が深い傷になることはあります。ただ、心と身体に残る傷は、外から...